古典作品を現代人に役立つ形で紹介していく「役立つ古典」です。
今回は「兼好流スキルアップ術」と題して『徒然草』第150段「能をつかんとする人」をご紹介します。
難しいことは分からないという人は、兼好法師という隠居オジサンが、豊富な人生経験をもとに、考えたことを思いつくままに書きつづった文章と思っていただければOKです。
詳しくをお読みになりたい方はぜひこちらをご覧ください。
それでは本日の文章を見ていきましょう。
第150段「能をつかんとする人」現代語訳
第150段「能をつかんとする人」原文
<言葉の意味>
・能…能力・特に芸能に関するもの
・堅固…全然・全くの
・かたほ…未熟なここ
・骨…天性の能力
・なづむ…停滞する
・堪能…その道に優れ才能があること。
・瑕瑾…欠点
・放埒…好き勝手にすること
第150段「能をつかんとする人」解説
「こっそりと練習しておいて上手になってから発表したらかっこいいなあ。」
誰もが持ったことのあるこうした甘い誘惑を、兼好法師は真っ向から否定します。
彼に言わせれば「そんなことをしている人間は1つのスキルも身につけられない」のです。
上達のために必要なことはただ1つ、初心者のうちから上手な人たちの中に交じり、時に笑われ、恥をかきながら、それでも気にせずに努力を続けていくことです。
それを出来た者だけがスキルを上達させ、最終的には人に認められるような存在(名人)になっていく。これがどんな道でも変わることのない真理だと兼好法師は教えてくれています。