現代を生きる皆さんに、古典作品を、楽しく・役に立つ、そんな視点でご紹介していく「現代人に役立つ古典」の時間です。
今回も『徒然草』から第18段「人は己れをつづまやかにし」を取り上げます。
詳しくをお読みになりたい方はぜひこちらの記事をご覧ください。
それでは見ていきましょう。
第18段「人は己れをつづまやかにし」現代語訳
第18段「人は己れをつづまやかにし」原文
【言葉の意味】
・つづまやか…質素であること
・唐土…中国のこと
・許由…中国古代の賢人の名前
・なりひさご…瓢箪(ひょうたん)のこと
・かしかまし…やかましい・うるさい
・孫晨…中国の伝説的人物の名前
・衾…寝具の一種・掛け布団のようなもの
第18段「人は己れをつづまやかにし」解説
最近はものを持たないミニマリストの人が増え、ブームになっていますね。
必要以上に物を持たず、身軽に暮らすというライフスタイルは、モノや情報にあふれた現代においては、かえって豊かさを感じられるものなのかもしれません。
実はこうしたミニマリストの生き方は、最近になって急に現れたものではないというのが今回の章段を読むと分かります。
水を飲むための器を捨ててしまった許由、布団すら持たない孫晨。この人たちはまさしく古代中国でミニマリストの生き方を実践していた例です。(ミニマリストしぶさんも布団ではなく床で寝ていた時期があったそうです。)
昔から賢者は人里離れた山の中でひっそりと暮らしているのが相場というものです。
「竹林の七賢」、『三国志』の「孔明」、『ぼのぼの』の「スナドリネコさん」などもそうですね。そして兼好法師もそうした賢者の生き方に憧れた1人であるからこそ、700年も前にこの話を取り上げているのでしょう。
「質素に贅沢をせず、富や名誉を欲張らない」そんな生き方を心掛けたいものですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも古典に興味を持っていただけると嬉しいです。